インクの概要

インク(ink)とは顔料・染料を含んだ液体で、文字を書いたり表面に色付けするために用いられるものである。油性、水性、ジェルなどの種類がある。印刷で用いるものはインキ(オランダ語の Inkt に由来)と呼ぶ場合が多い。 今日では、ペンにつけるインクよりもインクジェットプリンターで使用されるインクの方が日常で触れる機会が多いかもしれない。

日本や中国で古くから使われている墨もインクの一種である。 油性インクは長時間未使用のまま保存するとインクが固まってしまう、水性インクは保存には優れているが水に塗れると滲んでしまう弱点がある。近年はボールペンやプリンターなどで「水性顔料(染料)インク」が多用されている。長期の保存に耐え、水に塗れても滲みにくく手についても水洗いで落とせるなどといった利点を持っている。

墨(すみ)とは、菜種油やゴマ油の油煙や松煙から採取した煤を香料と膠で練り固めた物(固形墨)、またこれを硯で水とともに磨りおろしてつくった黒色の液体をいい、書画に用いる。 また墨を液状にしたものを墨汁(ぼくじゅう)または墨液と呼ぶ。 墨汁の原材料には化学的な合成物が使われている場合もある。化学的には墨汁の状態はアモルファス炭素の分散したコロイド溶液である。

インクとインキ

日本の著名なドイツ語学者関口存男は著書『関口・新ドイツ語の基礎の中』で、ドイツ語発音"ch"の読み方の説明において平行した例として「インクよりもインキが正しい」と記している。「たとえば英語のinkを、近頃の人は、正しいつもりでインクと言いますが、私たちの頃にはインキと言ったものです。kは[ク]だ、[キ]なんて変だ、などというなかれ、それは笑うほうがおかしい。インと言ったら、言った口は[イ]の恰好をしている。その恰好のままでkと喉の奥を弾いてごらんなさい、どうしたって[キ]みたいな音が出るじゃありませんか。それを、inと言った後に、わざわざ口恰好をuのように変えて、それから[ク]だなんて言うのは、だいいち英語の発音を知らない大馬鹿野郎のすることです。だから、[インク]は誤り、[インキ]が正しいのです。」(P21より引用。初稿は1947年刊の『標準初等ドイツ語講座』)